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2015
06.20

「霊応ゲーム」パトリック・レドモンド

Category: 本の感想

復刊ドットコム」で絶大な支持を得た傑作サスペンス、待望の文庫化!
1954年、イギリスの名門パブリック・スクールで学ぶ14歳の気弱な少年ジョナサンは、同級生ばかりか教師にまでいじめられ、つらい日々を送っていた。しかしある時から、クラスで一目置かれる一匹狼のリチャードと仲良くなる。二人が親密になるにつれ、ジョナサンをいじめる悪童グループの仲間が一人、また一人と不可解な事件や事故に巻き込まれていく……彼らにいったい何が? 少年たちの歪んだ心を巧みに描いた幻の傑作!(解説:大矢博子)
(「内容紹介」より)

とてつもないヤンホモヤンデレだと聞いて読みました。
面白かった!ある意味期待通り、素晴らしかった。
男同士の友情を超えた執着心から起こるヤンデレに興味ある方はもちろん読んだ方がいいし、それ以上にそれぞれの登場人物の心理描写が素晴らしかった。

平凡で気弱な少年ジョナサンは、クールで一匹狼なリチャードに憧れを持っていて、彼のようになりたくて、彼と仲良くなりたくて近づいていったのはジョナサンだった。けれど、彼と仲良くなっていくうちに、ジョナサンをいじめていた奴らは謎の事故、事件めいたものにより姿を消し、リチャードのジョナサンに対する執着、独占欲は増していき、そしてその矛先は、元々ジョナサンの友達であったニコラスにまで向けられていく。

"きみに手出しするやつは、だれだって、このぼくが殺してやるからな"

始めはいじめた奴らに仕返しをする、ジョナサンを守るリチャードという構図であったのに、それはいつしかエスカレートしていき、ジョナサンが気にする人間全てを排除しようと動き出す。そんなリチャードにだんだん怖くなっていくジョナサン。でも気づいた時にはもう既に手遅れで。いろんなものが連鎖的に不幸を読んでいくサスペンチックであり、ゴシックホラーでもある。本作がミステリーではなくホラーといわれるゆえんは、多分、ヒーロー的な探偵がいないせいでもあるのかなって。全てが終わった時もそれは解決ではなく終わりを迎えたというだけ。

リチャードはジョナサンという庇護対象にに出会うことにより執着と独占欲が暴走し、だんだん狂っていくかのように見えるけどある意味では初めからリチャードは何も変わっていないんですよね。そもそもはその素養があった。まわりに対する抑えられない憎悪。
スチュワート先生が作中で言っていた"孤独な人間は孤独なままであったほうがいい"それはこのことを指した言葉ではなかったけれど、ある意味ではその通りで、リチャードがジョナサンと出会わずそのまま独りでいたなら事件は何も起こらなかったのだろうなと。それでも近づいていったのはジョナサンだから。最後の彼の気持ちを考えると切ないものがあります。


ところで、これ、元は児童書だったらしいのですが、こんなものを児童書として出すほうに狂気を感じる。
まあ『NO.6』みたいな例もありますしね。だけどあれはどちらかと言えばエンタメの方に特化してたから。


後、解説でこれが面白かった人はこれをおススメみたいな感じで恩田陸さんの『ネバーランド』と『麦の海に沈む果実』を上げていたんだけどなんでこの二作やんねんて。いやもちろんこの二つも面白いよ。だけどこの流れで薦めるなら『ロミオとロミオは永遠に』でしょう。どうもロミオは恩田さんの作品の中で名前を挙げられることが少ないというか不遇な気がする。面白いよ!

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