--
--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2017
06.18

「しろいろの街の、その骨の体温の」村田沙耶香

Category: 本の感想

クラスでは目立たない存在の結佳。習字教室が一緒の伊吹雄太と仲良くなるが、次第に彼を「おもちゃ」にしたいという気持ちが高まり、結佳は伊吹にキスをするのだが―女の子が少女へと変化する時間を丹念に描く、静かな衝撃作。第26回三島由紀夫賞、第1回フラウ文芸大賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)


村田沙耶香さん作品多分5冊目。

今まで、主人公(わたし)と世界の食い違いで迎合できない違和感を描いたような作品が多かったのに、今回初めて主人公に対し特別な影響を与える個人が出てきたように感じた。

村田沙耶香さん風なスクールカースト系作品でもあった。
小学校で仲の良かった子が一人は上位グループ、一人は最下層のグループ、そして自分は中間よりやや下という害のないグループに別れた。小学校の時「おもちゃ」にして遊んでいた彼は今や誰もが注目する上位グループに入ってしまった。しかし、誰もいない秘密の場所で、彼らはこっそり楽しんでいたものの、ある時、彼はちゃんとつき合おう。こんなこと止めようと言ってくる。そんなことはできるはずがない。上位グループに属し、何もわかってない幸せさんの彼との立場の違いから、主人公は自分の考えを意識せざるを得なくなる。

彼、伊吹くんが、あまりに真っ白で陽の光に溢れてるんだけど、何もわかってなくて、個人的にはこの子が一番怖かった。
他の方の感想で、いい子すぎて救われた、みたいな文章を読んだ時、人の価値観の違いというか、かみ合わないんだなとしみじみ思った。
伊吹くん自身はいい人で、いい人なんだけど、だからこそ、全ての人に悪意なんてあるわけがなく、"悪気はない"という言葉で済ませてしまう。クラス内でイジメがあっても、弄ることでみんで楽しんでる、みんな笑ってるんだから、そりゃ相手(苛められてる子)が泣いて嫌がっていたら助けるけど、笑ってるじゃんと、あまりに真っ当に言ってのけるので、絵が見えない私として、思わず、え、そうなのかな?思ってしまうほどでした。最後、その子が突然キレテ大爆発したのでそうじゃないことはわかるんだけど、あまりに本気でそう思っているみたいでその気持ちに伝染してしまうほどで本気で怖かった。

伊吹くんがつき合おうと言ってきたときも、つき合ったらいいじゃんと思ってたんですよ。でも、クラス内でその伊吹くんちょっと噂になった子がひどい目にあって、主人公が正しかったのかなと、少なくともこの世界線においてはつき合うなんて選択肢はなかったのだなと。

村田沙耶香さんの作品ということで、ただ単純にこの二人が幸せになる展開はないだろうなと思いつつも、何とかなって欲しいと戦々恐々しながら読んでいたのですが、最後は個人的にちょっとわからない感じだった。主人公自身の心の問題に決着が着いたのはわかったけど、最後のアレは結局ネタバレつき合うことにしたのか、それとも決別したのかどっちとも取れるよう気がする。

村田作品を初めて読んだ時、ラノベっぽいというわけではないけど、でもラノベっぽいと思ったんですよ。主人公がとにかく特殊で、まわりと迎合することなく一人で突き進んでいくあたりが。一般作品だとどうしてもまわりとの関わりで世間を意識することが多いんだけど、それが閉じてて決して交わろうとしない。今回もスクールカースト系と、ラノベ読みとは相性いいのではと勝手に勧めておく。さやわかな話では決してないのだけど。

トラックバックURL
http://aikarinksekai.blog14.fc2.com/tb.php/693-eda1e4aa
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。