2017
06.28

「七月に流れる花」恩田陸

Category: 本の感想

坂道と石段と石垣が多い町、夏流に転校してきたミチル。六月という半端な時期の転校生なので、友達もできないまま夏休みを過ごす羽目になりそうだ。終業式の日、彼女は大きな鏡の中に、緑色をした不気味な「みどりおとこ」の影を見つける。思わず逃げ出したミチルだが、手元には、呼ばれた子どもは必ず行かなければならない、夏の城―夏流城での林間学校への招待状が残されていた。ミチルは五人の少女とともに、濃い緑色のツタで覆われた古城で共同生活を開始する。城には三つの不思議なルールがあった。鐘が一度鳴ったら、食堂に集合すること。三度鳴ったら、お地蔵様にお参りすること。水路に花が流れたら色と数を報告すること。少女はなぜ城に招かれたのか。長く奇妙な「夏」が始まる。
(「BOOK」データベースより)


面白かった!
恩田陸さん特有の閉鎖空間におけるほのかに暗い幻想ファンタジーホラーと見せかけたミステリーみたいな感じでした。こういうの大好物です。

全身が緑色の「みどりおとこ」という存在に、城に集められて五人の少女。
なぜ自分がここに呼ばれたのか、自分だけが理由がわからず、教えてもらえず、奇妙なルールとともに城で淡々と暮らしている中、ある時女の子が一人消える。他の少女たちは怖れ、それぞれの内緒話の断片から、毒だの処分だのと不穏な単語が聞こえてきて、主人公がただひたすら不安を感じる状況は完全にホラー。しかし、ここが一体何なのか調べていく中、塀の向こう側から男の子の声が聞こえて一瞬で現実感が戻ってきた。この瞬間が、こう何だかピリッとした夢から目が覚めたような感覚になって、私はとても好きです。

物語の終盤、主人公が納得する一応の説明はなされて、なる、ほど?とは思いつつも読み手からするとまだまだ謎の部分が多く残っていて、これは続編の八月の話の方で解決されるのかなと思うので早めに読みたいと思います。


恩田陸さんの作品における不思議現象の場合、1.本当に超常現象だった、2.主人公の頭がおかしかった(幻覚・幻想)、3.ミステリー的なオチ(錯覚・勘違い)、4.SF案件(現代ではあり得ないがその世界では普通に存在している科学現象)、の4パターンが普通にあるので、どれじゃ、と毎回思いながら読んでしまいます。(ダメな読み方)(でも楽しいです)

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